Sugano ORGANICの肌着は、オーガニックコットン100%の生地を使って仕立てています。
前回のMAGAZINE #07では、アメリカで有機栽培されたコットン「フォックスファイバー」が、大正紡績で糸へと紡がれていく工程をたどりました。
一本の糸を編み、生地を作り出す「寺田ニット」、そして生地を肌着の形に裁断する「愛光縫製」を訪ねました。

24本の糸から、生地へ
奈良県田原本町にある編み工場、寺田ニット。
工場に入ると、心地よい機械音が響きます。
古い年代ものの機械はリズミカルに動き、張り巡らせた糸が流れるように動いていく。

糸が吸い込まれていくのは丸編み機。丸編み機は筒型の大きな編み機で、24本の糸を回転させながら編み上げる機械。
糸は針にかかりながら小さな輪をつくり、その輪が次々と重なることで筒状の生地が生まれます。

縦糸と横糸を交差させる「織り」は生地の形を保ちやすいのに対し、「編み」は糸をループ状につないでつくるため、伸縮性が高くなります。

Sugano ORGANICで使う生地は、編みの中でも、「テレコ編み」とも呼ばれるリブ編みの生地です。
テレコとは互い違いという意味で、編み針を部分的に抜く「針抜き編み」と呼ばれる手法により、針を抜いた部分は編み目ができず、縦畝の目立つ表面になります。

テレコ編みは編み目がゆるくなっており、横方向への伸縮性が抜群です。
この構造がSugano ORGANICの特徴である、締めつけず、からだに優しく寄り添う心地よさを生み出しています。

糸の状態を見ながら、整える
機械は一定の速さで動いていても、糸はいつも同じ状態ではありません。
湿気を含んでいたり、張り具合にわずかな違いがあったりすると、糸が詰まり、編み目が乱れることも。
糸の滑りをよくするためにワックスをかけ、張りや編みの密度を調整したり、機械の音や振動に耳を澄ませ、いつもと違う変化があればすぐに手を入れる。

フォックスファイバーの糸には、自然の素材ならではの個体差や揺らぎがあります。
それを無理に均一にするのではなく、その時の糸の状態を見ながら細やかに整えていく。
フォックスファイバーの糸を活かした編みの技術は、長年、大正紡績の糸を扱ってきた寺田ニットだからこそできる匠の技。

Sugano ORGANICは肌着をつくり始めた頃から、寺田さんに生地づくりを託してきました。
かつて工場が火事に遭い、仕事をやめようと考えた時期もあったそう。
関わっている人たちのことを思い、それでも立ち上がり続ける道を選んだ寺田さん。
同じ糸を使えば、同じ生地ができるわけではありません。
素材の状態を見極める長年の経験と、育まれてきた信頼は生地の風合いを生む一部なのです。

生地に、服の形を与える
寺田ニットで編み上げられた生地は、大阪府羽曳野市にある愛光縫製へ。
生地を肌着の形に切り出す「裁断」の工程です。

50年以上前から使い続けられている手動の裁断機が愛光さんの相棒。
「構造がシンプルやから、掃除をしてオイルをさしておけばずっと使い続けられる」
必要な部分を修理しながら使い続けてきた機械を、テキパキと操り裁断していきます。


伸縮性の高いリブ生地は、裁断の難しい素材。
一本の反物の中でも幅が異なり、その日の状態によって伸び方や縮み方も変わってしまう扱いにくい生地です。

「生地が全部ピチッと一緒やったら自動でもできる。でもリブ生地はそうはいかん」
生地の状態を見て複数の型紙を使い分け、手で整えながら裁断していきます。


ただ形どおりに切るのではなく、仕立て上がったときに正しい形になるよう、生地の個性を読み取る。
迷いのない刃の動きには、50年の経験が刻まれています。

次の手へ、手渡していく
糸から生地となり、裁断され、最後の工程「縫製」へ。
人から人へと渡っていく。
その間には、素材の小さな変化を見つめ、次に待つ人の仕事を考え、想いながら、手渡していく人たちがいます。
私たちの肌着は、素材の良さだけではありません。
育てる人、紡ぐ人、編む人、裁つ人。
糸と肌のあいだにある、たくさんの想いと人の手。
その積み重ねがSugano ORGANICのやわらかさと、心地よさを作っているのだと感じました。

編集・写真:森 裕香子
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