
Sugano ORGANICの肌着は、オーガニックコットン100%の生地を使って仕立てています。
肌に負担をかけない、寄り添い、包み込まれるような気持ちのいい生地は「フォックスファイバー」というアメリカで有機栽培された綿(コットン)を原料に紡がれています。
MAGAZINE #6
私たちのものづくりを支える、綿を育てるひと
‒Sally Foxのオーガニックカラードコットン‒
フォックスファイバーのコットンを紡いでいるのは、大阪にある大正紡績株式会社。

海外の契約農場に積極的に足を運び、農家さんとの信頼関係を築きながら、環境に配慮されたルールの中で生産される高品質なオーガニックコットンを輸入。自社工場で、すべての糸を自分たちの手で紡いでいます。
昔は多数の紡績工場があった大阪の泉州地域も生産拠点が海外へ移され、国内を見てもどんどん閉鎖されていく中、オーガニックコットンの世界基準である“GOTS”と“OCS”の両方の世界認証を取得し、サステナブルな原料調達、小ロットで多品種な商品展開にこだわり、丁寧に糸を紡ぎ続けている、希少な紡績会社です。
この夏、私たちは改めて紡績という過程を学ぶため、工場見学に伺いました。

まず案内頂いたのが、原綿倉庫。
世界各地から届いた様々な種類のコットンが積み上げられています。
コットンの品種や育つ環境、気候条件などにより、太さ、長さ、色味などの違いがあるため、それぞれの個性を活かし、風合いの違いや農家さんのストーリーも楽しんでもらうという、付加価値を大正紡績では大切にしているそう。

フォックスファイバーには、ORGANICの表記がしっかりと記されています。
次に、いろんな音が鳴り響く、大きな工場の中へ。


世界中から入荷されたコットンは圧縮されて届きます。
紡ぎやすくするために解きほぐしたり、品質をより良くするために異物を取り除く工程がまず行われます。

さらに解きほぐし、不要なものを除去していきます。
解きほぐされたコットンは、綿菓子のようにふわふわに。


ふわふわになった薄い膜が束ねられてロープ状になっていきます。

ロープ状になったものを今度は引き延ばして細くしていく工程。
一気に細くすると切れやすくなるので、ねじりながら引き延ばし、糸にしていきます。



大正紡績では、古いヴィンテージの機械を使用し続けています。特に重要な存在が「石川台」という70年前に製造された精紡機。
コットンに負担をかけず、ゆっくりと糸を紡ぐことで、真っ直ぐに綺麗に揃った特徴のない糸ではなく、自然なムラや、揺らぎのある糸が手紡ぎのような風合いを生み出します。均一でない自然なムラがあることで肌にぺったりと触れるのではなく、凹凸が生まれて肌心地のよさを感じる糸に仕上がるそう。



昔ながらの機械を使って、糸や機械の状態を見ながら、細かな調整を職人の目と手によって行う。日々のメンテナンスや職人の感覚による判断など、生産効率も下がり多大な労力が伴いますが、大きい工場にはできない大正紡績だからできること。
コットンという自然の恩恵を最大限に活かした人の心を動かすものづくりに日々向き合い続けることを、とても大切にされているんだとひしひしと感じました。
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写真・文:森 裕香子